Kotlin + Spring Boot/ResponseEntityを使ったJSONレスポンスにJacksonの@JsonPropertyを有効にする
Spring Bootを使ってkotlinで書いています。サーバサイドでkotlinを使うと新たな発見があるのでいいですね。
ControllerのレスポンスにResponseEntityを使ったところdata classのプロパティを@JsonPropertyでリネームしたのに有効になりませんでした。
自分のググラビリティが低く解決方法が見つからず小一時間ほど費やしてしまいました。同じような人(いれば)のために解決方法をメモします。
こんな環境で試しました
- Spring Bootは1.4.2
- kotlinは1.0.4
次のようなdata classを用意します。
data class Member( val userId: Long, val name: String, @JsonIgnore val age: Int, @JsonProperty("isGold") val gold: Boolean = false )
@JsonProperty("isGold")のようにJsonレスポンスではgoldのプロパティ名をisGoldにしたいです。
次のようなコントローラーでMemberクラスを返します。
@RequestMapping(value = "/member/{id}", method = arrayOf(RequestMethod.GET)) open fun getUser(@PathVariable id: Long): ResponseEntity<Member> { return ResponseEntity(Member(id, "name", 20, true), HttpStatus.OK) }
次のようなレスポンスになります
curl -X GET http://localhost:8080/test/member/1 | python -m json.tool { "gold": true, "name": "name", "userId": 1 }
ageは @JsonIgnoreで隠れているのに、goldがisGoldではありません。
こんな状況でした。
kotlinモジュールを使う
kotolinモジュールを追加すると解決します。
github.com
Gradle:
compile "com.fasterxml.jackson.module:jackson-module-kotlin:2.8.4"
kotlinモジュールを追加すると次のようなレスポンスになります
curl -X GET http://localhost:8080/test/member/1 | python -m json.tool { "age": 20, "isGold": true, "name": "name", "userId": 1 }
isGoldになりました!!・・??、@JsonIgnoreしたageがignoreされていない。。
kotlinモジュールを有効にしたら@JsonIgnoreの宣言は以下のように変える必要があります。
data class User( val userId: Long, val name: String, @get:JsonIgnore val age: Int, @JsonProperty("isGold") val gold: Boolean = false )
data classを更新して再度レスポンスをとると
curl -X GET http://localhost:8080/test/member/1 | python -m json.tool { "isGold": true, "name": "name", "userId": 1 }
期待する結果となりました:clap:
kotlinで@JsonPropertyの使い方を調べていたら棚から牡丹餅のように@JsonIgnoreの使い方も学べました。
ソースを公開しています
ソースコードを公開しています。
github.com
ElasticsearchのScroll APIをためしてみた
気になっていたElasticsearchのScroll APIの使用感を記録します。最近の開発でScroll APIを採用したい欲求がありましたが、使用感を調べる前で採用は見送りました。このままだと気になったまま使わないことになりそうなので、この機会にまとめます。
※ version 2.4をつかいました。
Scroll APIは通常のSearch requestのoffset/limitでページング取得をしないため処理中のデータ抜けが防げるメリットがあります。またScroll APIは初回リクエスト時の結果をスナップショットすることで安定した応答速度を担保します。
スナップショットをとるためリアルタイムのデータ処理の利用には向いていません。(スナップショットの挙動について試してみたので後述しています)
どんなふうに使うか?
通常のクエリとscroll=1mを加えたリクエストを送ります。(size=1にしています)
curl -XGET 'http://localhost:9200/_search?scroll=1m&size=1&pretty' -d ' { "query" : { "match" : { "category_id" : 100 } } }'
次のような検索結果(1件)と合わせて_scroll_idが返ってきます。
{ "_scroll_id" : "cXVlcnlUaGVuRmV0Y2g7NTs4OkZRQjk1VGJIUmxhRm5RVlBnVWotYXc7OTpGUUI5NVRiSFJsYUZuUVZQZ1VqLWF3OzEwOkZRQjk1VGJIUmxhRm5RVlBnVWotYXc7MTE6RlFCOTVUYkhSbGFGblFWUGdVai1hdzsxMjpGUUI5NVRiSFJsYUZuUVZQZ1VqLWF3OzA7", ・・・ "hits" : { "total" : 52, ・・・ } }
2件目の取得を行うために/_search/scrollのエンドポイントへscroll_idをRequest Bodyに加えてリクエストします。クエリは必要ありません。
curl -XGET 'http://localhost:9200/_search/scroll?pretty' -d ' { "scroll_id": "cXVlcnlUaGVuRmV0Y2g7NTs4OkZRQjk1VGJIUmxhRm5RVlBnVWotYXc7OTpGUUI5NVRiSFJsYUZuUVZQZ1VqLWF3OzEwOkZRQjk1VGJIUmxhRm5RVlBnVWotYXc7MTE6RlFCOTVUYkhSbGFGblFWUGdVai1hdzsxMjpGUUI5NVRiSFJsYUZuUVZQZ1VqLWF3OzA7" }'
- 2回目以降はscroll_idを送ることで初回のリクエスト時に送った検索条件の結果が返ってきます。
- 3回目以降も同様にscroll_idを送ることで3件目、4件目、5件目・・・と結果を取得できます。
- 初回にsize=1としたため、2回目以降の結果も1件になります。
- またscroll=1mとしたことで初回にリクエストした検索条件の結果を1分間の有効期限でスナップショットが取られます。
使い終わったscroll_idは破棄をする
スナップショットを残して置くのはコストがかかるためscrollが終われば次のようにscroll_idをクリアします。
curl -XDELETE localhost:9200/_search/scroll -d ' { "scroll_id" : ["cXVlcnlUaGVuRmV0Y2g7NTs4OkZRQjk1VGJIUmxhRm5RVlBnVWotYXc7OTpGUUI5NVRiSFJsYUZuUVZQZ1VqLWF3OzEwOkZRQjk1VGJIUmxhRm5RVlBnVWotYXc7MTE6RlFCOTVUYkhSbGFGblFWUGdVai1hdzsxMjpGUUI5NVRiSFJsYUZuUVZQZ1VqLWF3OzA7"] }'
複数のscroll_idをまとめてクリアもできます。
Scroll APIを使うときのメモ
- Scroll APIの初回のリクエストはscroll_idを取得するためのものではなく、検索結果に加えてscroll_idが返ってくる。
- Aggregationを含んだリクエストの場合、Aggregationの結果は初回のみ返ってくる。
- ソート条件に制約がなければsort orderは_docにすることで安定した応答速度が得られる。
kotlin + 公式Elasticsearch ClientでScroll APIをためしてみる
せっかくなのでkotlinでコードからScroll APIをためしてみました。使ったクライアントは公式のElasticsearch Clientです。
※ version 2.4.3をつかいました
スナップショットは本当に有効なのか?
scroll=1mと設定してインデックスされたデータをscroll取得している間に、新しいソースをインデックスしても取得結果のtotal件数に変化がないか試してみました。
以下のような流れで検証します。
scrollIdが取得できれば再帰的にログ出力を繰り返し、その間に新しいソースを1件追加していきます。
実行した結果は次のようになりました。
[INFO ] totalCount={104}, id={AVkna34Rhpv5RJ12skTc} // 初回取得時のtotal件数は104件 [INFO ] complete add source id={AVkqcnqbMJXjH5tvLcGB} //新しいソースの追加が成功 [INFO ] totalCount={104}, id={AVkna_83hpv5RJ12skTd} // total件数は初回取得時の104件から変わらずスナップショットが有効であることが確認できた [INFO ] complete add source id={AVkqcntGMJXjH5tvLcGC} [INFO ] totalCount={104}, id={AVknbG17hpv5RJ12skTf} ・・・
Scroll APIの仕様のとおりスナップショットが有効の状態であれば新しいソースを追加したとしてもスナップショットを指すscroll_idでリクエストをすると全体の件数は変わらないことが確認できました。
まとめ
- ページング処理ではないため取りこぼしがない。(そもそも初回時点のスナップショットのデータを対象にスクロールするので取りこぼしはないと思われる)
- offset/limitのページング処理のコードがなくなり、コードがシンプルになった。
- スナップショットの有効期限が切れた場合、SearchContextMissingExceptionがスローされる。
- SearchContextMissingExceptionを捕捉して新規スクロールを始める必要があるが、例外が起きた時点のソースIDを始点にスクロールを開始する・・・なかなか例外処理は複雑。
- 取得したscroll_idを用いた次のスクロールに有効期限を添えることで常にスナップショットの有効期限を更新すれば例外処理を避けることができそう。
- いまのプロジェクトに導入したくなってきたが、本番での処理時間を測定した上で最適な有効期限の設定をする必要があるため様子見する。
Kotlinで快適なJSONパース。Klaxon: JSON for Kotlinを使ってみた。
前回の記事ではMoshiライブラリを使ったJSON文字列からのオブジェクト変換、オブジェクトからのJSON文字列変換の話でした。
JSONが複雑な構造でもあってもMoshiのCustom Type Adaptersを使って@ToJsonと@FromJsonを実装すればJSON←→オブジェクトの変換が難なく行えます。
難なく行えますと書きましたが、Moshiのカスタムアダプタを利用する難点もあります。
次のような難点が考えられます。
- 複数のカスタムアダプタの実装が必要になると骨が折れる作業となる
- 複雑ではないJSON構造でもカスタムアダプタが必要な場合には実装コストがかかる
- 実装したカスタムアダプタの整合性テストが必要になる
カスタムアダプタを実装して整合性テストまでのコストを考えると多くのカスタムアダプタの実装は避けたいところです。
開発の過程でJSONパースの処理は多く登場します。JSON文字列をオブジェクトに変換して値を取り出すような良くあるケースでカスタムアダプタの実装は避けたいなぁ・・・と考え調べていたところ「Klaxon: JSON for Kotlin」を見つけました。
Klaxon: JSON for Kotlin
Klaxonはkotlin製のJSONパースライブラリです。簡易的な使い方の紹介をします。
次のようなJSON構造を例にします。
{ "name": "Sakib Sami", "age": 23 }
次は使い方です。
val parser: Parser = Parser() val stringBuilder: StringBuilder = StringBuilder("{\"name\":\"Sakib Sami\", \"age\":23}") val json: JsonObject = parser.parse(stringBuilder) as JsonObject println("Name : ${json.string("name")}, Age : ${json.int("age")}") // Name : Sakib Sami, Age : 23
KlaxonのParsrにJSON文字列の入力ストリームを渡しJsonObjectでキャストします。あとはキャストしたJsonObjectのdata classに用意されたstiringやintメソッドに取得したいJSON構造のkeyを渡せば値を参照することができます。
stringやintなどのメソッドはJSON値の型に合わせたメソッドが用意されています。その他にlongやbooleanなどがあり、値が新たなJSON構造であればobj、配列の場合はarrayのメソッドを利用します。
as JsonObjectのようにJSON値をキャストする型はobjなどのメソッドと対になっています。詳しくはドキュメントを参照してください。
AggregationBuildersクラスをJSON化してパースしてみる
以前の記事で紹介したAggregationBuildersクラスのオブジェクト構造をJSON文字列にして、KlaxonでJSONパースした例を紹介します。
AggregationBuildersクラスのオブジェクト構造は次のように表せます。
{ "aggs_post_id": { "terms": { "field": "post_id", "size": 1000 }, "aggregations": { "aggs_category_id": { "terms": { "field": "category_id", "size": 20 }, "aggregations": { "aggs_user_id": { "terms": { "field": "user_id", "size": 2500 } } } } } }
上記のようなJSONをKlaxonでパースして値を検証してみました。
val parser: Parser = Parser() val jsonObject = parser.parse(json.byteInputStream()) as JsonObject should("valid aggs_post_id.terms") { val aggsPostIdTerms = (jsonObject.get("aggs_post_id") as JsonObject).get("terms") as JsonObject aggsPostIdTerms.string("field") shouldBe "post_id" aggsPostIdTerms.int("size") shouldBe 1000 } should("valid aggs_category_id.terms") { val aggsCategoryId = ((jsonObject.get("aggs_post_id") as JsonObject).get("aggregations") as JsonObject).get("aggs_category_id") as JsonObject val aggCategoryIdTerms = aggsCategoryId.get("terms") as JsonObject aggCategoryIdTerms.string("field") shouldBe "category_id" aggCategoryIdTerms.int("size") shouldBe 20 } should("valid aggs_user_id.terms") { val aggsUserId = ((((jsonObject.get("aggs_post_id") as JsonObject).get("aggregations") as JsonObject).get("aggs_category_id") as JsonObject).get("aggregations") as JsonObject).get("aggs_user_id") as JsonObject val aggUserIdTerms = aggsUserId.get("terms") as JsonObject aggUserIdTerms.string("field") shouldBe "user_id" aggUserIdTerms.int("size") shouldBe 2500 }
構造が深いためas JsonObjectが連続して可読性が損なわれていますが、json構造を辿れることが伝えたく敢えて上記のように書きました。
fieldは文字列なのでstringメソッドで、sizeは数値なのでintメソッドで取得できます。
aggsPostIdTerms.string("field") shouldBe "post_id" aggsPostIdTerms.int("size") shouldBe 1000
APIのレスポンスをKlaxonでパースして値を検証してみる
次のようなレスポンスを返すAPIを想定してKlaxonでパースして値を検証してみます。
[ { "postId": 1324231431, "categoryId": 11, "user": { "userId": 1413241, "name": "John", "age": 20 } }, { "postId": 1321231341, "categoryId": 22, "user": { "userId": 1453124, "name": "Amy", "age": 25 } }, { "postId": 1329709858, "categoryId": 33, "user": { "userId": 1409709, "name": "Jessica", "age": 38 } } ]
kotlintestを使ってSpecテストをしていますのでそれぞれの値の検証意図はSpecのnameを参照してください。
init { given("GET: /test/content_list") { target = TestController() mvc = MockMvcBuilders.standaloneSetup(target).build() val response = mvc.perform(MockMvcRequestBuilders.get("/test/content_list")) .andExpect(MockMvcResultMatchers.status().isOk()).andReturn().response.contentAsString `when`("response is ok") { val array = Parser().parse(response.byteInputStream()) as JsonArray<JsonObject> then("レスポンスに含まれるPostは `3つ`") { val postIds = array.long("postId") postIds.size shouldBe 3 } then("categoryIdが30以上のPostは `1つ`でpostIdは `1329709858`") { val post = array.filter { it.long("categoryId")!! > 30L } post.size shouldBe 1 post.get(0).long("postId") shouldBe 1329709858L } then("categoryIdが30以下のPostでuserのageが20以上のうち最後のレスポンスのuserのnameは `Amy`") { val post = array.filter { it.long("categoryId")!! < 30 }.findLast{ it.obj("user")!!.int("age")!! > 20 }!! post.obj("user")!!.string("name") shouldBe "Amy" } } } }
APIのレスポンスをパースすることでJsonArrayが取得できます。配列が取れればkotlinのコレクションが使えるのでfilterやmap、findLastのメソッドを利用して値を検証することでテストコードの可読性があがります。
さらにkotlintestのBehaviorSpecでテストコード全体を仕上げたので、それぞれのテストの意図も伝わりやすいです。
JSONパースにコストをかけずJSON構造を上から辿っていく間隔で値の取り出しをできるKlaxonはテストコードで重宝しそうです。